2010年9月30日木曜日

食べ物と思い出

ちょっと前になりますが、映画館で『かもめ食堂』と『南極料理人』の二本立てを見ました。タイトルからも分かるようにどちらも「食べ物」が重要な役割を占める映画で、ベジタリアンがこのような映画を楽しめるのかと思われる方もおられるかもしれませんが、私は結構楽しめました。とんかつ、海老フライ、ラーメンなど、私が久しく食べていない料理が次々と出てくるものの、基本は人間ドラマなので共感できる部分も多かったです。『かもめ食堂』は「くすっ」ぐらいの笑いでしたが、『南極料理人』はゲラゲラ大笑いしながら見ていました。

『かもめ食堂』でおむすびのシーンを見ていたら、なんだか無性に焼き鮭が食べたくなりました。2本の映画を見終わって映画館を出る頃には、「今日は絶対に鮭の切り身を買って帰るぞ」とまで思い詰めていました。こんなこと菜食生活始まって以来初めてのことでした。私にとって、肉はもう食べ物に見えなくなってしまったので、食べたいという気持ちはさらさら起きませんし、魚も社交の場でちょっとつまむ程度で、自分の家で食べようなんて思わなかったので。

自分の気持ちを分析してみたら、どうも昔の思い出とリンクしているみたいでした。昔、○○の場面で□□さんといっしょに食べた「焼き鮭」が無性に食べたくなったんだと思いました。そして、色々思いを巡らしていたら、鮭自体にはあまり執着がないということにも気がつきました。

塩鮭は塩分多いなーとか、魚グリルの後始末が面倒だなーとか、生臭い生ゴミが出てしまうなーとか考えているうちに、だんだん焼き鮭に対する欲望がしぼんできて、結局、鮭は買わず、バナナを買って帰りました。それから何ヶ月か経っていますが、特に鮭が食べたいということもなく過ごしています。

一方、そうした肉や魚に対する冷めた感覚とは対照的に、甘いものに対する執着は結構あります。特に、どら焼きに対しては並々ならぬ思いがあり、ときどき無性に食べたくなります。子どもの頃、父が仕事帰りによく買ってきてくれていたので、そのことが記憶に深く刻み込まれているのだと思います。「ベジタリアンへの移行プロセス」で、動物性食品を摂る普通食から菜食にあっさり移行できたと書きましたが、あの記事を書いたときは、どら焼きも動物性食品の一種であることをすっかり忘れていました。どら焼きには卵や蜂蜜が使われているんですよね。どら焼きに関しては「あっさり」ではありませんでした(笑)。

どら焼きの発作が襲ってきた場合は、とりあえず、自分で小豆を煮て、あんこを作って食べています。皮と一緒に食べたいと思って、卵は使わず、やまいものすりおろしを混ぜた皮を作って、どら焼き風にあんこをはさんで食べたこともあります。

そんな手間ひまをかけて作らずとも、市販のものを買ってくればいいのでしょうが、私はいったん食べだすと、とことん依存して習慣的に、それも大量に食べたくなってしまうので、そういう状況は避けたいんです。食べ物って、過去の思い出とつながっていると同時に、現在進行形の習慣だと思います。自分が良いと信じている方向に自分を習慣づけたいので、今の生活は菜食路線からできるだけ外れないことを習慣にしたいと思っています。

逆に、少食が習慣になって体調も万全になった暁には、たまに少しぐらい市販のどら焼きを食べても大丈夫かもしれません。でも、体調が万全で健康であれば、心も穏やかになって、どら焼きを渇望することもなくなるような気もします。過去の思い出として、頭に思い浮かべる程度で満足できるのではないかと思います。早くそういう日が来てほしいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントはブログの管理人が承認するまで公開されません。