今日はまた原発ネタなんですが、ちょっと変わった実験をしている動画です。高温にさらされ、水をかけられた燃料棒の被覆管がどうなるか、ということを見せてくれています。
この動画に登場する、アメリカのエネルギー・コンサルティング会社フェアウィンズ・アソシエイツのチーフ・エンジニア、アーニー・ガンダーセンさんは、原子力の専門家として、アメリカのニュース番組などでもコメントされているようですが、いわゆる御用学者的な「推進派」ではなく、原発の問題点や危険性なども指摘しており、政府や企業の利益からは離れた「独立」の立場に立っているようです。
Nuclear engineer Arnie Gundersen demonstrates how Fukushima's fuel rods melted and shattered from Fairewinds Associates on Vimeo.
1978年に原子力技術者として働いていた頃、仕事先で燃料棒をもらったそうです。燃料棒(fuel rod)と言っているのですが、ジルコニウム合金(ジルカロイ)と言っているので、厳密に言うと燃料被覆管のことではないかと思われます。そして、これが福島の原子炉内に入っているもののようです。この被覆管の中に燃料ペレットが入っているのですが、本物は危険(動画内のような状態で触っていたら死んでしまうもの)なので、模擬的にプラスチックを使っています。(燃料棒の構造については、下図をご参照ください。)
実験では、このジルコニウム合金をバーナーで熱します(ご近所さんがバーナー係を担当)。実際の原子炉では被覆管内の燃料(内側)から熱が出るのですが、実験ではそれを模擬的に、外側から熱を加えることにしたようです。
そして、燃料の冷却水として、水をスプレーします。水がジルコニウム合金に当たると水蒸気だけでなく、水素ガスも生成されるそうです。
加熱されたジルコニウム合金は酸化して変色し、もろくなってボロボロと崩れてしまいます。こうなると、燃料ペレットが中から出てしまい、原子炉の底に落ちて溶融が起きるらしいのですが、この状態が福島第一で発生していると説明されています(2号機で発生しており、3号機もその可能性があるとか)。
4月11日の記事(「福島原発の不穏な動き」)で取り上げた動画の中で、京大の小出さんが再臨界の疑いについて解説されていましたが、今日のガンダーセンさんも、同様に、別の動画で、再臨界を懸念されているようでした。その動画と訳は、こちらのブログに掲載されていますので、ご興味のある方はご覧ください。
ガンダーセンさんは、今回の福島の事故に非常に関心(懸念)をもっているようで、週2回ぐらいのペースで、独自に状況を分析して動画を配信されています。私は文系の人間なので、原発のような化学や機械が複雑にからみあったものは、専門家に解説してもらわないと、何が起きているのかさっぱり分かりません。色々な立場の方の解説を聞きたいので、小出さんやガンダーセンさんのような方の存在は貴重だなと思いました。
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