2011年5月25日水曜日

地上1mでの放射線量(続報)

先日、進む放射能汚染で地上1mでの調査結果について報じた女性セブンの記事を取り上げましたが、5月24日、週刊現代がこの調査について、もう少し詳しく書いています。

この記事は、全文を転載するにはちょっと長すぎるので、ここでは私が気になったところだけお伝えします(全文はこちら)。 

その記事には、放射線計測学を専門とする、近畿大学原子力研究所講師の若林源一郎さんが中心となって開設した、「放射線・原子力教育関係者有志による全国環境放射線モニタリング」というウェブサイトのことが書かれています。

ここにアクセスすると、都道府県別にまとめられた測定結果のPDFを見ることができます。例えば、東京の場合は、次の地点で測定が行われているようです。

  • 東京都中央区京橋
  • 東京都昭島市玉川町
  • 東京都文京区本郷
  • 東京都港区港南
  • 東京都葛飾区金町2 マンション周辺
  • 東京都練馬区下石神井
  • 東京都世田谷区赤堤5丁目
  • 東京都渋谷区代々木2丁目
  • 東京都世田谷区喜多見
  • 東京都八王子市台町
  • 東京都府中市(白糸台6丁目自宅前旧甲州街道歩道)
  • 東京都千代田区北の丸公園
  • 隅田川清洲橋(東京都中央区日本橋中洲地区付近)
  • 東京都世田谷区玉堤1-28-1 東京都市大学キャンパス 1号館5階
  • 東京都町田市
  • 箱崎エアターミナル(東京都中央区日本橋箱崎町41)の正面玄関右側交差点
  • 東京都新宿区西新宿
  • 東京都品川区東品川

測定結果は文科省が発表しているものより、2倍~5倍高くなるようです。 

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出所: 週刊現代: 実はこんなに高い あなたの町の「本当」の放射線量 (2011.5.24)

文科省のデータは、定点観測値として、推移を見るにはいいかもしれませんが、なんてったって新宿などは地上約20mの値ですから、地上付近で生活する我々が日常的に吸い込む空気とは違いますよね。空を飛ぶ鳥さん用ではなく、飛べない人間用の情報を知りたいというのが人情でしょう。

国際放射線防護委員会が一般公衆の年間被曝許容限度を1ミリシーベルトと定めていますが、この値は、1時間あたりに換算すると、0.114マイクロシーベルトになります。原発から200km離れた東京でも、この許容限度を超えている地域が結構あります。

そして、文科省の測定値、有志の方々の測定値は、どちらもガンマ線だけを測定したものであり、内部被曝で問題となるアルファ線やベータ線が含まれていません。この点について、今月23日の参議院行政監視委員会で、参考人として呼ばれたソフトバンク社長の孫正義さんが指摘し、同じく参考人として呼ばれていた京大の小出裕章さんに同意を求めるという場面がありました。

孫さんは現在4台の線量計で線量をチェックしているそうです。1台目は事故から2週間後に入手したものであるが、アルファ線、ベータ線、ガンマ線の合計値を表示する機種であったため、政府発表のデータの倍ぐらいの数値を示していたが、その後、ガンマ線だけを測定する機種を手に入れたら、政府発表の数値とだいたい同じぐらいになったとのこと。

小出さんは、ガンマ線による外部被曝より、内部被曝は10倍多くなると補足しています。

その補足を受け、孫さんは内部被曝のほうがはるかに怖いのに、それを発表しないというのは、「なにか意図があるのか、何なのか、僕にはよく分からない」とコメント。内部被曝についても議論すべきであるし、その議論のためには、アルファ線、ベータ線も測定して、その数値を発表すべきだろうと言われました。

私たちが放射線の線量データを見る場合には、上述の測定場所の高さに加え、測定されている放射線の種類(アルファ、ベータ、ガンマ)にも注意を払う必要があるということでしょう。

さらに、孫さんは、そうしたアルファ線、ベータ線も測定できる線量計が税関で500台止まったままであると暴露しています。線量計を入手したいと望む人は多く、国内では品薄状態が続いているというのに、なぜか福島第1の事故以来、税関でずっと止まっているというのです。

前回の記事(「海外からの大量の線量計は今いずこ?」)でも問題になっていましたが、線量計はあっちこっちに「保管」されているようです。こういうものは、使用してはじめて役に立つものなんですから、早いとこ放出してほしいです。「政府は国民に線量計を渡したくないのではないか」という疑念を払拭するためにも。

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