2011年5月21日土曜日

進む放射能汚染

前回(「放射能汚染」)の記事で、東京の新宿にあるモニタリングポストが地上から20mぐらいのところなので、地上付近の放射線量が気になると書きましたが、このたび地上1mで計測した結果が分かりました。

専門家が再測定
東京・葛飾区の放射線量は政府発表の5倍

2011.05.20 16:00

4月19日、文部科学省によって、校舎・校庭を利用する際の放射線量の暫定目安「年間20ミリシーベルト」が定められた。これに対し、「日本医師会」は5月12日、「子供に対し、国の対応はより慎重であるべきだ」として、その数値の引き下げ、つまり基準をより厳しくするよう求める見解を発表した。

そもそも文科省の基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)が3月21日に出した「今回のような非常事態が収束した後の参考レベルとして、1~20ミリシーベルト/年の範囲で考えることも可能」という声明に基づいたものだが、文科省は1~20のうち、その最大値をとっている。

では、20ミリシーベルトと1ミリシーベルト。この2つの値には一体、どれくらいの違いがあるのだろうか。あくまで単純な計算だが、1日24時間屋外にいると仮定した場合、年間20ミリシーベルトは1時間あたりに換算すると、2.283マイクロシーベルトとなる。一方、年間1ミリシーベルトは1時間あたり0.114マイクロシーベルトとなる計算だ。

1時間あたりの全国各地の放射線量は連日、文科省が発表し、新聞にも毎日掲載されている。1時間あたり、2.283マイクロシーベルト以上となると、原発周辺の地域のみだが、0.114となると、つくばや日光も含まれてしまう(5月15日測定分)。

また、東京都内では新宿の数値が発表され、0.0632となっている(同)。0.114以下なので安心かと思いきや、実は発表されている数値にはとんでもない“誤差”があった。近畿大学原子力研究所講師・若林源一郎氏が話す。

「文科省が発表しているのは、各地の測定所から送られてくる数値を集めたもの。測定する場所に決まりはないので、測定器が公共施設や研究施設の屋上にとりつけられているところもあります」

地上から10m以上だったり、場所によっては、20m近い位置での測定値ということもあるという。

「事故発生から2か月以上。大気中に放出された放射性物質はほとんどが地表に降下しているので、地表近くでの測定値は、建物の屋上で測定されたものより高い数値を示すことがあります」(若林氏)

若林氏は放射線や原子力教育の関係者を有志で募り、全国の放射線量モニタリングを行った。測定位置を地上から100cmに統一して計測したところ、ほとんどの地域で文科省のデータより高い測定値が出た。

5月10日に文科省が測定した東京(新宿区)の値0.0662に対し、若林氏らのチームが測定した値は0.124と約2倍。さらに同じ東京都内でも葛飾区では0.359という5倍にも相当する値が出た。

先に計算した年間1ミリシーベルト=1時間0.114マイクロシーベルトを基準と考えた場合、原発から200km以上離れた
都内でも、葛飾区や新宿区、文京区、渋谷区では子供にとって警戒が必要な数値となってしまう他にも関東地区では千葉県柏市や茨城県水戸市、ひたちなか市、つくば市などが0.114を超えている。

女性セブン2011年6月2日号

ここのところ「実は…」的なサプライズ報道ばっかりです。政府からの発表は、話半分、いや、話2倍~5倍に補正して理解する必要があるのでしょう。

とはいえ、京大の小出裕章さんや作家の広瀬隆さん等のお話に耳を傾けてきた人たちにとっては、特に驚くような内容ではないかもしれません。原子力というものがとてつもなく危険なもので、ひとたび事故が起きれば、被害が広範囲に及ぶというのは十分に予想できていたことですから。

汚染は相当進んでいます。そして、汚染源である原発は、まだ収束の見通しすら立っていません。こんな状況にあって、依然原発を維持・推進しようという人々は、とても正気とは思えません。

本日未明の朝日新聞の記事によると、「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」が31日に発足するそうです。地下式原発というのは、地下に建設される原発のことで、事故の際に容易に地下に封じ込められる利点があるとかで、この連盟には前首相の鳩山由紀夫さん等が名を連ねています。

鳩山さんは広瀬さんを招いた学習会で、いったい何を学んだんでしょう。地下に封じ込める? そんなこと、本気でできると思っているんでしょうか。

※動画は非公開となっています(2025年4月3日現在)

この動画の後半で、高レベル放射性廃棄物の処分の問題が出てきます。以前のたねまきジャーナルで小出さんが「崩壊熱が取れるまで100万年かかるので、地下深くに埋める地層処分は危険」と解説されていたのが思い出されます。原発を動かしているかぎり、この厄介な高レベル放射性廃棄物が次々と作り出されてしまいますから、「原発を地下に作れば、事故のときも安心」なんてレベルの話じゃないんです。

高レベル放射性廃棄物を閉じ込めるキャニスター(容器)の表面温度は200度以上。放射能の強さは4万テラベクレルに達するという。

人はキャニスターの傍にわずか20秒間いるだけで、確実に死に至るとされている。

2006年現在、約1400本のキャニスターが青森県の六ヶ所村などに一時的に貯蔵されている。2020年には、高レベル放射性廃棄物はキャニスターに換算して、およそ4万本に膨れ上がる。

こんな危険なものが、すでに大量に存在し、これからもどんどん出てくるのかと思うと、めまいがします。

福島第1の事故発生から2か月がたち、原発問題、社会システムの問題に気がついた人たちは少なくないと思います。でも、ここまで来てもまだ目が覚めない人たちが大勢いることも確かで、そういう方々はもう救いようがないというか、どうしようもないのかもしれません。

経済最優先、物質至上主義という考え方が根底にあるかぎり、危険性をいくら訴えても、馬の耳に念仏なんですよね…。 


コメント

しかし、地面自体の「放射線」で無い可能性が高い。
(ガンマ線の横到達距離1気圧のとき1km位では。)
政府はメカニズムを隠蔽せず、早く釈明すべきですね。

>「事故発生から2か月以上。大気中に放出された
>放射性物質はほとんどが地表に降下しているので、
>地表近くでの測定値は、建物の屋上で測定された
>ものより高い数値を示すことがあります」

投稿: 匿名 | 2011年5月24日 (火) 09時36分

★ 匿名さん

>政府はメカニズムを隠蔽せず、早く釈明すべきですね。

この部分については、まったく同意見ですけれど、最初の2行については、専門的かつ簡潔すぎるため、申し訳ありませんが、私にはコメントの真意がよく分かりませんでした。引用してくださった部分では、地面自体の「自然放射線」ではなく、「福島第1由来の放射性物質」のほうを問題にしていると思うのですが、そのことをおっしゃりたかったのでしょうか。

投稿: Norah | 2011年5月24日 (火) 12時44分

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