2010年10月7日木曜日

ベジタリアン予備軍

ベジタリアンと一口に言っても、その概念には様々な食生活を実践する、かなり広範囲の人々が包含されています。乳製品や卵など一切の動物性食品を摂らないヴィーガンから乳製品や卵も食べるラクト・オボ・ベジタリアンまで、いくつかのグループがあります。また、厳密にはベジタリアンではないですが、魚介類を食べるペスコ・ベジタリアンや肉食の頻度が少ないセミ・ベジタリアンといった準菜食のグループも存在します。

日本ではベジタリアンというと非常に少数派のように思われがちですが、準菜食のグループまで含めると、ベジタリアンの割合はかなり多くなるような気がします。私の周囲でも、肉は食べるけれども、それほど好きではないという人は結構います。

現代では、動物性食品を使わない料理を食べたことがない、そうした料理の方法を知らないということで、動物性食品なしの料理は「ありえない」と思っている人が多いのではないでしょうか。また、ベジタリアンと宣言してしまうと、人付き合いが大変になってしまうと心配されている人もいるかもしれません。

特に健康上の問題を抱えていないのであれば、何も最初から本格的なベジタリアンを目指さなくても良いと思います。とりあえず肉食を減らしてみるとか、平日の夜や週末に家で食事をするときだけ菜食とか、パートタイム・ベジタリアンとして菜食を試し、気に入ったら、菜食の頻度を徐々に増やしていく、という感じでいいのではないでしょうか。

以前、私を含めて数人のグループで食事をしていた際、私がベジタリアンであることに興味を示した一人が、
「私も(菜食を)やってみようかな」
と言ったんです。そうしたら、別の人がすかさず、
「おまえには絶対無理だ。やめとけ、やめとけ」
と横やりを入れてきました。

絶対無理ってことはないと思います。パートタイム・ベジタリアンだったら、だれだって、すぐにでも始められます。「ベジタリアン」というと何かすごい主義主張をもった人、遠い存在というイメージがあるのかもしれませんが、ただの野菜料理好きだと思えば、大したものではありません。

また、別のグループで食事をしていた際、私がベジタリアンであるということで一人の人が、
「たんぱく質はどうやって摂っているんですか。不足しないんですか」
と聞いてきました。そのときはとりあえず、
「豆類からも摂れるし、野菜にも含まれているんですよ」
と答えておきました。

その時点で私は菜食生活を3年以上続けていて、そうした質問に動揺することもありませんでしたが、菜食を始めたばかりの頃にこういうことを言われたら、ベジタリアンであることに不安を覚えたかもしれません。

脳機能学者の苫米地英人さんの著書を読んでいると、よく「ドリームキラー (dream killer)」という言葉が出てきます。夢を壊す人、つまり、だれかに夢を話した場合、その夢を否定してくる人たちのことです。このドリームキラーは身近に結構存在します。だから、大きな夢は他人には宣言しない方が良い、と苫米地さんは書かれていました。

「ベジタリアンになる」なんてのは夢というほどのことではありませんが、健康上危険な思想とみなされることも多いので、宣言してしまうと、非常に風当たりが強いです。そうした向かい風に立ち向かう準備ができるまでは、宣言しない方が賢明だと思います。私は菜食を始めて5年になりますが、いまだに上手く立ち回れず、隠れ切支丹のように、ひっそりと息をひそめていたりすることもあります。

ベジタリアン予備軍と思われる菜食に興味のある人たちって結構いるのに、周囲の圧力で菜食の道へ踏み出せないことが多いようで、とても残念です。私は自分が菜食にして良かったと思っているので、同じように感じる人が少なからずいるのではないかと考えています。健康に自信があり、毎日肉を食べずにはおられないという人にどうこう言うつもりはありませんが、少しでも菜食に関心がある人に対しては、パートタイム・ベジタリアンあたりから試してみることをお勧めしたいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントはブログの管理人が承認するまで公開されません。