2011年3月31日木曜日

原発推進派のトリック

 先週の記事(「まずは3割節電」)で原発による発電量は全体の3割程度なので3割の節電を目標にしていると書きましたが、その後、反原発の視点から色々と情報を集めて勉強しているうちに、原子力発電の問題というのが非常に複雑で、一筋縄では語れないものであることを改めて思い知らされました。

例えば、今は震災の影響で原発だけでなく、火力発電所なども被害を受けて発電量が落ち込んでいるので、供給が需要に追いつかない事態が発生しているようですが、震災前はどうも電気は余っていたようなのです。 

原子力発電所というのは、ひとたび稼働させてしまうと、小回りがきかないため、需要の少ない時間帯でも発電量を落とすことができないそうです。だから、みんなが電気を使わない時間帯(夜間)でも、なんとか電気を使ってもらおうと知恵を絞り、夜間割引とかオール電化住宅に力を入れていたようです。

そして、原発には必ず揚水式発電所というものが併設されているということも分かりました。この揚水式発電所というのは、山の上と下に二つのダムを造り、昼は上のダムから下のダムに水を落として、その力で発電をします。夜は逆に、原発などの余剰電力を使って、下のダムの水を上のダムに汲み上げて貯水し、昼間の発電に備えるという仕組みになっています。この発電所の問題点は、水を汲み上げるために必要な電力より、水を落として得られる発電量のほうが少ないということです。発電所のくせに、電気を消費する場所となっており、反原発側からは「電気の捨て場」と呼ばれて槍玉に上げられています。

また、反原発側の試算では、原子力発電に頼らなくとも、火力発電所などで日本の需要に十分対応できるとされています。実際、天然資源も十分な埋蔵量のあることが分かってきたらしいので、ますます問題ないですよね。

原発推進側は、原発がクリーンで割安な発電方法と宣伝していますが、「クリーン」でないことはもうみんな分かり始めています。どう見ても有害でしょう。

では、割安という点はどうでしょうか。これもかなり眉唾です。原発推進側の試算にはまず上記の揚水式発電所の費用が算入されていません。また、原発は危険なので、都会に作ってはいけないという法律があり、遠隔地からはるばる都会に送電することになるため、長距離の送電でコストが相当かかります。さらに、危険な原発を受け入れてくれた地元自治体には、迷惑料として巨額の交付金が支払われますから、その税金もコストとして考えるべきでしょう。それに、有害な放射性廃棄物の処理や原子炉を廃炉にするための費用も天文学的な数字になるのですが、このあたりも不確かです。その上、今回のような大事故が起きたら、その補償やら何やらに関し、電力会社は免責されたとしても、私たちは税金でその尻拭いをしなければならず、経済的負担は相当なものです。コスト面でも全然魅力的ではありません。

ここまで見てくると、原発というのは、電気が足りないから作ったなんてものではなく、原発を作りたい事情があったために、なんとか正当化する理由をでっちあげたという感じです。数字なんてのは、前提条件を操作することで、いくらでも変わるんですよね。

だから、原発の発電量は3割ですが、これは3割不足していたから、原発で補ったと考えてはいけないと思いました。十分にまかなえる発電量のパイの中に原発が無理矢理割り込んでいると見るべきでしょう。

国策として「安全」な原子力発電を推進してきたわけですから、電力会社や国は今さら「危険」と言うわけにはいかないのでしょう。責任を問われますからね。だから、福島の発電所が危機的な状況にあるにもかかわらず、根本的な原子力政策を転換する素振りはまったくありません。あの発電所だけが不運にも想定外の未曾有の地震で被災したというポーズを崩そうとしません。他の発電所は、福島の教訓を活かして「安全運転」に努めますというところでしょうか。

でも、原発は運転を続けるかぎり有害な廃棄物を大量に作り出してしまい、今後ますます危険度は増大します。日本中にある原発はすべて今回と同様またはそれ以上の事故を起こす可能性をはらんでます。事故が起きてから廃炉にするより、事故が起きる前に運転を止めるほうがどんなに楽かしれません。

今後の展開を見守りながら節電に励むとともに、原発や電気のことをもっと勉強して、原発推進派のトリックに取り込まれないよう、理論武装していこうと思っています。

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