よく「地産地消」なんて言いますよね。また、マクロビオティックをかじったことがある人なら「身土不二(しんどふじ)」という表現を聞いたことがあるのではないでしょうか。どちらも、地元産のものを食べることを奨励する際に使われる言葉です。この理論に立つと、ナチュラル・ハイジーンのような果物を多食する食事法は、分が悪いように思えてきます。
こうした既成概念に対抗するには、ちょっと理論武装しておいたほうがいいかもしれません。ディベートして論破するためではなく、マイナーな食事法を続けていくための心の支えとして…。なにしろ多勢に無勢ですから、この瑞穂の国で「地産地消」や「身土不二」の理論ばっかり聞かされ続けると、「ナチュハイなんてやっていて良いのかな?」と弱気になっちゃいます。
私も悩んだことがあるし、今でも悩んでいないといえば嘘になりますが、"The 80/10/10 Diet"(Dr. Doug Graham 著)
を読むと、「やっぱり人間は果食動物だー」と思えます。この本では色々な角度からその理由が説明されていますが、私が特に面白いと思ったのは次の観点です。
人類の種の起源は、熱帯地方にあると言われています。しかし、人口が爆発的に増加した結果、移住を余儀なくされ、気候的に住み難い、寒い地域にも移り住んでいきました。
そうした中で、人々は移住先の気候に適応し、その土地の食べ物に順応した。「地産地消」や「身土不二」を主張している人たちは、そう考えているのでしょう。
でも、80/10/10では、人々は皆いまでも「自前の熱帯環境」を作り上げていると言っています(p.97, "Our Own Private Tropics")。つまり、衣類や寝具類、暖房などの工夫により、寒い地域でも自分の身の回りに熱帯の環境を作っていると。
寒いところに移り住んでたかだか数千年程度では、白クマやアザラシのように天然の剛毛が全身に生えてきたり、皮下脂肪がぶ厚くなったりすることはないようです。熱帯の人より多少は寒さに強くなっているとしても、基本的には、人為的な「工夫」で寒さに耐えているのであって、解剖学的、生理学的には、熱帯起源の動物であることに変わりはない。したがって、わたしたちの体に適した食べ物は、種の発生当時に住んでいた熱帯で産出される果物であると考えているのです。
真冬であっても、わたしたちは自前の熱帯環境の中で暮らしているわけですから、熱帯産の果物を食べることは、理に適っているとも言えます。果物がまったく生産できない土地であれば、果物を中心に食べるということは物理的に難しいかもしれません。でも、日本は南北に細長く、温暖な地域も結構あるので、その気になれば、果物の生産に適した土地はかなりあると思われます。
現在、我が国は米やその他の穀類を中心とした食生活を基本として、農業・食糧政策もそういう方針になっていますから、残念ながら果物は必需品というより、贅沢品みたいな位置付けになってしまっています。
果物を消費する人が増えれば、生産してくれる人も増えるのではないか。ナチュラル・ハイジーンを支持する人が増えれば、果物も手に入りやすくなるのではないか。そんなことをぼんやり考えながら、真冬に果物を多食しております。
輸入果物はいろいろな面で問題をはらんでいますから、国産の果物が庶民的な食べ物として気軽に手に取れるようになってほしい。ナチュハイの一支持者として、切にそう願っています。
コメント
★ ななしさん
"The 80/10/10 Diet"には「朝食と体内時計のリセットについての説明」はなかったと思います。
果物だけで大丈夫なのか、とのご質問ですが、ななしさんは果物だけでは大丈夫じゃなかったということでしょうか?
私自身は、朝は果物だけで問題ないというか、朝は食べなくてもよいという感じなので、朝食で体内時計をリセットという考え方に興味がなく、知識もないため、なんと答えてよいのかよく分かりません。すみません。
投稿: Norah | 2012年2月 5日 (日) 20時12分
ノラ様、
いつも興味深く記事を読ませて頂いてます。
ノラさんとは同年代で、マクロビからローフード・ナチュハイを知り、現在はエドガー・ケイシーにも興味を持っている健康オタクですが、ストレス→大食い&夜更かし→免疫力低下→結核発病で、現在も服薬治療中の不健康&大馬鹿ものです。(苦笑)
"The 80/10/10 Diet" はなかなかおもしろそうで、買っちゃおうかと思いつつ、届いてもちゃんと読む自信がまだないため、今だに購入に至っていません。(買ったまま読んでいない本も徐々にクリアリングしているもので、、、)
食事については、古今東西、いろんな説がありますね。
オタクなので(笑)かなりの本を読みましたが、肝心なストレスマネジメントと生活改善が出来ないのが我ながらあきれます。
逆に上記が改善できれば、食事はなんだっていいような気もしています。
というより、自分の身体に適切な食事に落ち着くのでは、と思うのです。
果物は大好きなので、果物中心の食事で体調が良好に保てるならどんなにいいか、と思います。
次の記事も楽しみにしております。
投稿: パーシモン | 2012年2月 5日 (日) 21時51分
★ パーシモンさん
いつもお読みいただいているようで、どうもありがとうございます。同年代で、マクロビ、ナチュハイ、健康オタク、大食いってあたりがなんか似ていますね。
私も本は場所をとるので、購入にあたっては非常に悩みます。まずは図書館で借りて良かったら買うということにしていますが、洋書はそれができないので、ついつい買ってしまい、まだ読んでいない本が結構あったりします。
「食事はなんだっていい」、「自分の身体に適切な食事に落ち着く」というところ、全く同感です。食事法についてあーだこーだ、さんざん記事を書いておいて今さらこんなことを言うのも気が引けますが…(笑)。
『生命の実相』にすっかり感化されまして、まずは心構えだなと思うようになりました。ま、ローフードは、体に良いからというより、好きだから食べているという感じです。最近、加熱料理が昔ほど美味しく感じられなくなっちゃったので…。変われば変わるもんです。
投稿: Norah | 2012年2月 6日 (月) 10時32分
、"The 80/10/10 Diet"の中に朝食と体内時計のリセットについての説明はありますか?
ナチュラルハイジーンでは朝は果物だけを食べることを勧めていますが、時間栄養学的にはしっかりとした朝食、特に糖質+タンパク質が末梢の体内時計のリセットに必要なのだそうです。
果物だけで大丈夫なのでしょうか?
投稿: | 2012年2月 5日 (日) 17時15分