菜食を始めた当初、急激に痩せ、栄養が足りなくて筋肉が落ちてしまったのではないか、と少々心配したことがありました。
私は菜食を始める前、体重が50kg近くありました(身長160cm)。ところが、菜食を始めたら、あれよあれよという間に痩せ始め、数か月で43kgになりました。短期間にそれだけ痩せると、周囲の注意を引いてしまい、「どうしたの?」「どっか悪いんじゃないの?」「体、大丈夫?」とよく言われました。
あんまり言われるので、私もちょっと痩せすぎかなあ、太りたいなあ、なんて思っていました。元々食い意地が張っていた上に、太りたいという思いもあり、大食いに拍車がかかってしまった気がします。油脂を摂りすぎてしまったのも、元をたどれば、油脂を摂って太りたかったからかもしれません。
しかし、過去の記事に書いたとおり、食事量を増やすとか油脂をたくさん摂るなんてことは、大間違いでした。体に不要なものをたくさん摂っても、老廃物として溜まるだけで、細胞の燃料にはならないんです。私は食べれば食べるほど不健康になっていきました。そして、体がだるくなり、運動するのが億劫になり、どんどん老廃物を抱え込んで、最後は坐骨神経痛になって歩けなくなってしまいました。
"The 80/10/10 Diet"(Dr. Doug Graham 著)によると、体重というのは、3種類の要素で構成されているそうです。
●水分
●除脂肪組織(骨、筋肉など)
●脂肪
これら3つの要素の増減により、体重が増減するというわけです。(以下、私訳・要約)
脂肪を減らしながら水分の重量を増やすことができる
脂肪を落とせば、体重の減少になるはずだが、必ずしもそうなるとは限らない。脂肪を減らすことより、水分の重量を増やすほうが簡単であるため、結果として、体重増となることがある。同じ体積であれば、水分のほうが脂肪よりも重く、少々の水分量の増加が、相当量の体脂肪の減少と同等、またはそれ以上となる場合がある。例えば、着実に脂肪を落としていたとしても、ちょっと余計に塩分を摂ってしまえば、希釈のために、大量の水分が必要となり、体重は増えることになる。(「体が水分を必要とする仕組み」参照)
脂肪を減らしながら筋肉の重量を増やすことができる
十分に運動をして、落とした脂肪以上に、筋肉を増やせば体重を増やすことは可能であるが、筋肉の発達はかなりゆっくりなので、そうなることは少ない。他の要因がすべて同じままなら、脂肪の減少は体重の減少になる。
「痩せすぎ」の人も脂肪過多である可能性がある
痩せている人が体重を増やしたい場合、脂肪ではなく、筋肉を増やす必要がある。グラハム博士のところに来たクライアントで、「痩せすぎ」は嫌なので、体重の減少を抑えたいと言っていた人のほぼ全員が、脂肪過多だったそうです。博士は20年以上にわたり、健康、栄養、運動能力について色々な人にアドバイスされてきたのですが、痩せすぎは嫌と言っていたクライアントで、実際に脂肪を増やす必要があったのは、二人だけだったとか…。
例として、あるファッションモデルのエピソードが紹介されていました。彼女は若々しい美しさを保ちたいと考え、グラハム博士に相談したようなのですが、痩せすぎになりたくないので、体重は落としたくないと言いました。長身でひょろっとしており、確かに痩せてみえたようですが、体脂肪率を測定したら、29%もありました(下表のグラハム博士の分類では「不健康」の範疇)。つまり、体重を落とす必要はないが、脂肪を減らしつつ、筋肉を増やす必要があったわけです。そして、彼女は実際にそれを実行して、その後モデルの仕事を長く続けたそうです。
※「一般」は医療や健康の専門家が作成した一般的なガイドラインによる分類。グラハム博士の推奨値は一般的なガイドラインよりも低くなっている。
私の体脂肪率は16~19%で、上記のグラハム博士の分類では「健康的」な範疇です。でも、体重が少なめ(現在45kg)なので、筋肉量が少ないと思われます(筋肉があれば、もっと体重は重くなると思うので)。去年よりは、ちょっと体重も増え、手足も太くなってきたんですが、もう少し筋肉をつけて、健康体を目指したいと思っています。
菜食を始めると、私のようにいっきに体重が落ちたりするかもしれませんが、それを筋肉の減少と考えるのは早計みたいです。グラハム博士によると、自分の筋肉量を過大評価している人が多く、実際は、思っていたほど筋肉がなかった、ということがよくあるそうです。アスリートが病気やアクシデントで、長期間寝たきりになると、筋肉が激減することもあるらしいのですが、一般人が食生活を転換した程度では、そう簡単に筋肉は落ちないようです。体重が減少するプロセスとしては、まずは水分の減少、そして、その後に脂肪の減少が来ます。水分は上述のとおり重いので、水分の減少は体重減に大きく貢献しますが、脂肪はそれほど重くないので、水分が減少した後の、体重減少はゆっくりしたペースになるとのことです。
要するに、菜食を始める前、私が筋肉だと思っていたものは、老廃水分や脂肪だったわけです(笑)。
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