今日は、先月NHK BSで(そして、今月に入って地上波でも)放映されました、2010年フランス制作のドキュメンタリー「被曝の森はいま」の動画をご紹介します。
※動画は非公開となっています(2025年4月3日現在)
1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故後、半径30kmは強制移住区域とされ、今でも立ち入り禁止になっています。人間が去り、多くの動植物が強い放射線で命を落としましたが、時間の経過とともに、植物が生い茂り、様々な動物がこの土地に移り住み、たくましく生の営みを繰り広げているようです。
いまだに放射線を出し続けながらも、生態系を維持している森。その汚染された森で繁殖を続ける動物たち。人間は放射能の前ではまったく無力ですが、自然はそんな放射能さえも飲み込んでしまう力があるようです。
そうした自然界の回復力に目を見張り、感動していたのですが、動画の最後のところで、非常にがっくりきてしまいました。ウクライナは、チェルノブイリの事故で辛酸をなめたにもかかわらず、政情不安や財政難を理由に、よそで排出された核廃棄物の処理や埋蔵に、この森の一画を活用しようと考えているというのです。せっかく回復しつつある自然の中にまた放射能を持ち込もうなんて…。
また、動画内でフランスの学者が、
「現在、新たな原子力発電所を建設するための調査が行われています。
これは最悪の場合どうなるかを調べるためのめったにない機会です」
と言っているのも気になりました。「最悪の場合」が起きたのに、まだ原発を作ろうとして研究しているわけです。今の日本もそうですけど、懲りない人たちのなんと多いことか…。ほとほと呆れてしまいます。
アメリカ先住民のナバホ部族には、次のような言い伝えがあるそうです。
私たちナバホは、その創世神話の中で、ウラン(ナバホはそれを地下世界からのクレッジ(cledge)と呼ぶ)は大地の中に留めておくべきものだ、といつも教わってきた。それは黄色の物質で、昔からの言い伝えで知っていた。
・・・中略・・・
ウランは地中に留めておくべきだった。もし解き放たれたなら、世界中の先住民文化でもそう考えられているように、それは邪悪な蛇になり、災害や、死や破壊をもたらすだろう・・・。
出所: よくわかる原子力
掘り起こしてはいけないウランを採掘し、邪悪な蛇を目覚めさせてしまった愚かな人間。大地に降り積もった死の灰は、何万年、何百万年という膨大な年月が流れたら、また地中深くに戻り、おとなしく眠りについてくれるのでしょうか。
そして、そのとき、人間はまだこの地球上に存在しているのでしょうか。
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