2011年2月21日月曜日

フィルター交換

私はアマゾンや楽天ブックスのレビューを読むのが好きです。もちろん本を読む前にもレビューを見ますが、本を読んだ後に、他の人がどのように感じたかを知りたくて、レビューを見にいくこともあります。

レビューを読んでいると、同じ本を読んだとは思えないぐらい様々に違う受け止め方をしている方々がおられ、非常に興味深いです。なんでこんなに違いが出てくるのでしょうか。

まず、読者は、その本を読んで、自分のフィルター(理解力)を通して、自分の頭の中にその内容をインプットします。この段階でかなり個人差が生じていると思うのですが、そのインプットした情報を引き出してきて、それを文字にして表現した段階で、今度はまた別のフィルター(表現力)によって、個人差が生じ、大元となる本からレビューまでの間に、かなり大きな隔たりが出てくるのでしょう。

これは何も本に限ったことではなく、世の中すべてのことに当てはまると思います。自分のフィルターを通して、物事を理解(インプット)し、自分のフィルターを通して、インプットした内容を伝達(アウトプット)しているわけです。

この伝言ゲームが日常的に様々な場面で繰り広げられて、世の中が出来上がっているわけですから、世界がいかに恣意的かということが分かります。

大昔、まだ二十歳そこそこの頃、『ガープの世界』(ジョン・アーヴィング著)という小説を読んだことがあります。尋常ではない人々が次々と登場してきて、奇妙奇天烈なストーリーが展開されていくのですが、不気味というか気色悪い印象ばかりが強く残り、正直なところ、もういちど読みたいとは思えない内容でした。(でも、その後、なぜか偶然、この小説を元にした映画も見てしまったのですが…。)

この小説の原題は "The World According to Garp"というんですよね。直訳すると「ガープによる世界」「ガープが言うところの世界」ということでしょうか。つまり、その世界というのは、主人公ガープのフィルターを通して見た世界なんだと思います。

ガープの周囲では、そうした一種異様な世界が確かに存在しているのでしょうが、他の人々には違う世界が存在しているはずです。

世界というのは、人によってかなり違うように見えているのだと思います。みんな自分のフィルターを通して世界を見ているわけですから。

かくいう私も昨年の春まではずいぶんと悲観的なフィルターを通して世界を見ていました。世界は水色というか涙色でしたね(笑)。それが坐骨神経痛をきっかけにフィルターを交換することになり、今では、かなり暖色系の世界が見えてきました。これからさらにフィルターに磨きをかけて、バラ色の世界が見えるようになりたいと思っています。

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