ジャーナリストで1日1食の菜食を実践されている船瀬俊介さんが明治の文豪たちの食生活について説明している動画が面白かったので、今日はその内容を紹介したいと思います。
YouTube: 【甘い物は本当に悪なのか】誤解が多すぎる砂糖の身体への影響|小田真嘉×船瀬俊介
明治時代は文明開化の号令の下、欧米の文化が怒濤のように日本に押し寄せ、日本人の価値観が一変しました。
知識人と呼ばれる人たちは新しい文化を貪欲に吸収しようとし、食生活も欧米化させていきます。
動画では、正岡子規、夏目漱石、森鴎外の甘いもの好きが悲劇を呼んだと説明されています。
●正岡子規(1867~1902)
34歳11か月没。
子どもの頃から母親に甘いものを与えられ、甘いもの好きになった。子ども時代のあだ名は「青瓢箪(あおびょうたん)」。顔色が真っ青で不健康だった。
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」を詠んだときは柿を11個食べたとか。
甘いものを食べると血液が酸性化し、アルカリ化させるために、骨からカルシウムイオンを取り出す。そうすると、骨がカスカスになり、そこにばい菌が住み着くと脊椎カリエスとなる(Wikipediaによると、20歳で最初の喀血(結核)。29歳のときに脊椎が結核菌に冒されて脊椎カリエスを発症していると診断される)
晩年は寝たきり。
子規は記録魔で、何を食べたかすべて記録を残している。『仰臥漫録』(正岡子規著)が出版されており、子規が何を食べていたかが分かる。
寝たきりなのに朝飯4杯。昼3杯、夜3杯。1日10杯。それに加え、菓子パン10個、牛乳1合。
子規の医者は「脊椎カリエスは骨の結核です。ですから治すには栄養を与えるしかありません。くれぐれも、お母さん、良い栄養をたっぷり与えてください」といった。
子規の給料は当時50円。栄養を与えなければいけないということで、肉、まぐろ、ごちそう...。収入のあらかたが子規の食費に消えた。
看病にあたっていた妹の律と母親はお茶漬け。栄養があるとされていた肉、まぐろ、牛乳、甘いものなどはすべて子規に与えた。その結果、子規は痛みでのたうちまわって35歳目前で早逝。粗食に耐えた妹と母はどちらも80歳過ぎまで生きた。
●夏目漱石(1867~1916)
子規の親友であった漱石も子規と同じ過ちを犯し、49歳没。
漱石も子規も東大卒。インテリで西洋の食べ物は体に良いと信じていた。
甘いもの中毒は漱石も同じで、イギリスからジャムを輸入(当時としては非常に贅沢)し、一晩でジャム一缶を完食。
体が酸性化し、胃潰瘍を起こす。
『吾輩は猫である』に出てくるくしゃみ先生は、いつも胃が悪くて不機嫌な顔をしている。これは漱石。
漱石は甘いものと肉の食べ過ぎ。コーヒーや紅茶に砂糖を入れ、甘いものを食べ、ジャムを手づかみで食べるようになる。一晩で10個大福を食べたという逸話もある。
夏目家では毎晩牛肉を購入。今の貨幣価値に換算すると、牛肉の購入費用として月に30万円使っていることになる。
そして、すき焼き(肉と砂糖という毒のハイブリッド)で食べることが多かった。
こうして胃潰瘍がどんどん悪化していった。
1910年(43歳)で「修善寺の大患」という事件が発生(Wikipediaによると、療養に訪れた伊豆の修善寺で大吐血を起こし、生死を彷徨った)。
なんとか生き延びて、暗い小説を執筆した後、49歳10か月で死去。
●森鴎外(1862~1922)
60歳没。
鴎外も甘党で、大福茶漬けという有名な話がある。
大福茶漬けというのは、ご飯の上に大福を載せて箸で大福を壊して熱いお茶をかけて食べるもの。これが鴎外の大好物で毎日食べていた。来客時には来客にも出していた(出されたほうはえらい迷惑...)
明治の文豪は食い間違いで寿命は縮めたが、対照的だったのは白樺派(1910年創刊の文学同人誌『白樺』を中心に起こった文芸思潮)。
白樺派の作家達は長生きしている。白樺派というのは要するに自然主義だから、「新しき村」といって無農薬の有機農法で一緒に作物を作って神の恵みに感謝し、江戸時代からのもの、少食・菜食でみんな80代、90代まで生きている。
◇ ◇ ◇
文豪たちがこのような食生活だったとは、まったく知りませんでした。
なんでみんな早死に?と思いつつも調べず、そういう時代だったのだろうと勝手に思い込んでいました。
寿命を決めるのは食べ物だけではありませんが、食べ物の影響が大きいのは確か。特に、甘いものは自然治癒力を弱めるので、病気になりやすく、病気の治りを悪くさせます。
私は白砂糖はもう20年以上家には置いていませんし、過去記事に書いた代替甘味料のエリスリトール(+ステビア)も今では使っていません。
ただ、果物は完全にやめてしまうと加熱穀類や芋類が食べたくなるので、ついつい食べ過ぎてしまい、悩みどころ。
今日取り上げた甘いもの好きの3人の文豪の話を戒めとして、今後の食生活を考えていきたいと思います。
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